hinatazoukeisha’s blog

日表造形社:2015年4月創立純文学文芸結社。主催:小柳日向。活動:主に純文学小説の創作と販売。傍で、詩誌のアンソロジー企画と装丁画の外注や紙媒体のデザインも請け負っている。

前記事追記:カタログ表紙制作秘話

書くの忘れておりました……。事務局様に許可を頂いておりましたので、カタログ表紙制作秘話の記事を書きます。


カタログ表紙完成データ

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ここまで辿り着くのに、打ち合わせ、ラフ提出、再度打ち合わせ、制作、納品、納品後文字入れ打ち合わせ、原画展示の為の額縁制作、展示までの流れで。


最初の打ち合わせ段階では、かなり難しいと感じた依頼内容でした。制作期間にも遊びが殆どないのも、悩みました。なので、打ち合わせを重ね、具体的に具体的に絞っていくうちに、ラフを3つ仕上げ提出したところ、第二案であった、この猫ちゃんが通りました。

因みに、ラフ1はカニの脚が生えた女性が本を読んでいる絵。ラフ3はカエルが水面の葉っぱの上で本を投げ出して寝ている絵。でした。

内在的なテーマ性を持った依頼であった為に、表現の仕方、構図、色調等頭を捻りましたが、依頼主様の感性を如何に引き受け、表現に持っていくかが、今回の仕事で最も重要だったように思います。

そして、制作期間としても、油彩は間に合わないだろうという判断もあり、不透明水彩を選択しました。昨今、メディウムなどの勉強に勤しんでいましたので、GOが出たラフで制作へ。


制作は集中しては、ちょいちょい煙草休憩し、また取り掛かる。という具合で、制作中は絵の前から殆ど離れなかったです。

ザッと制作過程を一気に。変わってないようで変わってるって感じです。特に、本の部分は、ラフの段階で先方から言われておりました「本と本が滲んで連なっている様が、文学の連綿性を表しているようでよい」と言うような言葉だったと思いますが、それでやはり、字体も実際の出版物の字体をモチーフに、溶け合うようにしました。マチエールなども色々拘ってはいたのですが、やはり一番骨が折れたのは、本の部分でした。

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煙草休憩の時に記録として撮っているので、如何に文字の部分が時間が掛かったか、ということが、おわかり頂けただろうか?(それでは、もう一度……という、展開はないです)

ラフの段階ではなかった、追加での要望に、できれば「時間」「季節」というものがあったので、こんな感じで仕上がりました。

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ふぅ……。納品が終わると仕事終わったー!感がありましたが、程なくして、先方のカタログデザイン担当さんの案が届き、ここでまた議論に発展し、何時迄も続きそうな果てしない議論でした。デザイン担当さんと私との間に入っていた副代表さんが、かなり熱心な方でしたので、文字入れについても妥協を許さないという、九州男児魂が素晴らしかったです。本当によい勉強になりました。


文字入れ打ち合わせ終了後は、原画も納品していたし、という具合でのんびりした感じでしたが、依頼の段階では額装まではしなくていいとの話だったんですけれど、私の方の事情で、額装は無料でという運びで額装まで。

懇意にしている画材屋さんに行けば、程よい額縁見つかるだろうと、呑気に思っており、一旦返却して頂いた原画を持って行こうと問い合わせた所、原画サイズの額縁の在庫が無く、取り寄せになるとのこと。そして、取り寄せていたら、当日に間に合わないという事実。

急遽、ナフコへ行き、木材等を購入し、箱額という手作りの額縁を作ることに。打ち付け額なら、かなり簡単に作れちゃうんですけれど、今回はなんか額ももっと綺麗に作りたい!という、依頼とは関係ない欲が出てしまい、箱額という選択へ。

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床が本当に木屑まみれという、状況でしたし、本来ならシートを敷いてするんですけれど、楽しくなってきちゃうと、周りが見えなくなってしまい、着彩も床にアクリルインクやジェッソが飛び散る。という状態。賃貸なので、こういう状態になって後から後悔します。

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後悔で項垂れながらも額を作っている私を、猫ちゃんが見下しているようです。

そして、さっきの状態からサンダーでヤスリ掛けをし、角も少し丸みを帯びた優しげな感じにして、着彩は黒のアクリルインクをバックの板に、青のアクリルインクを縁の棒に、ジェッソで色調を抑えたり、原画にも使っているドロッピングという技法で、各所に滲ませていきました。あとは、透明ニスを塗って……

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打ち付けて完成。

終わったー!!と思って文フリの荷造りしている時に、ふと思い出して、「あ、キャプション……」ということで、キャプションも制作。


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会場ではこんな感じに。(後々配置変わりましたが)

もう絵画設営の仕事を2年半くらいやっていたという過去もあるので、一応水平器やらヒートンやら紐やらスケールやら専用手袋やら、何から何まで自宅にあったんですが、壁に穴を開けることもできず、されども天井から吊るすチェーンもない会場でした。

美術館じゃないものね。

なので、私物の折り畳み式イーゼルを持参して展示しました。あのイーゼルで油彩とかも描いているので、洗っても絵の具落ちないので、汚いイーゼルでごめんなさい。


ざっくりですが、今回の仕事はこんな感じでした。この依頼から文フリ福岡当日まで、プライベートもバタバタしてましたので、何だか濃密な期間に感じられました。

事務局様には大変お世話になりました。

ありがとうございました。


それでは、以上になります。


日表造形社:小柳日向


第二回文フリ福岡レポート

第二回開催おめでとうございます。そして、スタッフの方々、出展者の方々、一般来場者の方々、お疲れ様でした。

天候も秋麗。

しかし、会場は熱気で頗る暑かったです。


設営の為に早めに会場へ行き、程なくして開場しました。が、平素引きこもりがちな為に、設営段階でへばっていたもので……、何人もの方から、「倒れないでね?」や、ブースに寄って頂いた方々からも、「今日来て大丈夫だったの?」などと、ご心配お掛けしてすみません……。

大坂文庫様と隣接配置で、売れ行きはお互い中々だったかな、という印象です。

差し当たり、今回はカタログの表紙を描かせて頂いたというご縁もあったので、参加せねば……!という具合で赴いたので、売れ行きよりも、倒れないことを優先的に考えて、殆ど動かなかったです。回れなかったのは残念ですが、以前から気になっていた本を書かれてる方々が、ブースにお越し下さって、歩かなくても素敵な本が手に入る!という、奇跡的な展開に感謝です。

終わりが差し迫った二時間前程に、体力的限界を感じたので、倒れる前に相談という鉄則に基づき、事務局様の控え室で休ませて頂きました……。ごめんなさい。本当にありがとうございます。


打ち上げは入院の準備もあるので、一時間程で帰ろうと考えていたのですが、平素打ち上げでも、密かに煙草を喫して過ごしたり、時には寝てる。という具合なんですけれど……、今回の打ち上げは物凄く楽しく、刺戟になりました。

同世代で話が盛り上がるのは、中々稀有な例であったので、ああしたら面白い、こうしたら面白い。など、面白いと思えることが次々と出て来るものだから……、テンションが上がってしまって、二次会までゆき、熱く熱く語ってましたね……。

よい経験になりました。ありがとうございます。


さて、11/1から入院なので、取り急ぎレポート書かせて頂いたので、割愛している部分も多々ございます。

嬉しかった出来事が沢山あったので、本当によいイベントだったと思います。

ご縁を頂きました、文学フリマ福岡事務局様には、誠に感謝に尽きます。

そして、本日、拙著と詩誌シリーズ、隣接配置の大坂文庫様の既刊、委託販売の嘘つきコルニクス様と白昼社様の本をお手に取って頂いた方々、ありがとうございました。


報告としまして、一応入院期間中ではあるんですが、文学フリマ東京の方で、大坂文庫様のブースに弊社の本を委託することになりました。

入院中は連絡が取れませんので、退院後改めてよろしくお願い致します。


それでは、おやすみなさいませ。


福岡文学フリマ参加要項及び近況報告内心描写

10/30の福岡文学フリマ。参加できるか危うい綱渡りの末、周りの助力のお陰で、参加できる運びになりそうです。

体調次第という懸念は御座いますが、ご理解の程宜しくお願い致します。


さて、一応近況報告から入らせて頂こうかと思いますが、10月から復学の末、ビジネスハイな状況に至っていたこともありまして、ヤル気と体調が追い付かず、デザインの授業中に祖父江進さんの本の作り方などのレジュメを楽しく読んでいる最中に、意識が吹っ飛び卒倒した様子です。聴講生の話や保健管理センターの方の話を伺うと、卒倒した際の意識はなく、痙攣を起こし、顔色も土気色、唇は乾燥し、限界体重を下回り、活動限界のキャパシティーを超えていたようすです。

ああ、こんな組版があるんだとか、ああ、こんな形で書籍のデザインができるんだとか、確か「ほぼ四角」という形の本の形を読んでいた最中だったと思います。

私の大好物な吉田戦車さんの本のデザインをされている方で、ワザと落丁や乱丁を試みたデザイナーさんであり、純粋に「面白い」というものを追求したデザイナーさんのお話で、本の既定概念を覆すような、発想や試み、失敗やら積み重ねで作り上げてきた、そういったデザインに、興味が持って行かれていた。そんな授業でありました。

その授業を受講する前、事実上、不眠と摂食障害に悩まされていた部分がたたり、今回のような事案を起こしてしまいましたね。

お金の面で大変な苦労を強いられていた、休学の一年間でしたが、苦しくないと云えば、嘘になり、また人間関係上のトラブルが休学する前から、引きずる程困難な事態であったこと、7年前からの持病でどうしても立ち直るのに時間を要したこと。そして、今本当に自分が何がしたいのか、と鑑みた時に、就職や人間関係よりも、作家として生きていく道をもっと真剣に考えたいと思うようになりました。

尊敬する教授や、同学年や先輩、後輩の刺戟を顕著に受け、3年次の時に、教授と話した際に「作家になりたいんやろ?創作を続けたいんやろ?」っていう、私の心の奥底に隠していた気持ちを、一瞬にして見破られ、私は二の句も編むことも出来ないほどの泪を流し、それでも劣等感に苛まされてきた人生に於いて、自信というものを持てずにいたのです。

しかし、泣きながら喫煙所で教授が笑いながら、私の頭をバシバシと叩いて、その時に云ってくださった一つ一つの言葉が、私の支えになっておりました。尊敬する相手から見破られた、私の野心というべきものか、それとも反骨精神というものであろうか、虐げられてきた記憶や、語弊はありそうだが、本当に純粋に対人関係に対しても、創作活動に関しても、取り組みたいという精神とでも云いましょうか。

私は、"信じやすい"という、長所とも云えるような欠落が御座いまして、どんなに利用されようと、どんなに都合良く扱われようと、盲目であったと思います。

きっと今でも簡単には覆せない程の、"信じる"精神を持ち合わせていて、本当に無知で無垢だったように思わされます。

自分では意識していなかった程の「性善説」のような価値観が、根底にあり。人が、陥れる心算であることに、全く気付くことがなかったのです。

そんな中で私を支えようとしてくださった、恋人の事に私はかなりの執着をもようしていた様子で、「1から10を作り出すのは容易だが、0から1を作り出す、その君の行いは大変尊い。応援したい」その言葉のみで、きっと今までの私ならば、どんな倫理観に抵触しようと、割り切れたはずであるのに、それでも受け入れ難かったと存じます。

彼が突然蒸発したことも、恨むつもりはありませんが、きっと私が努力して成し遂げれば、見ていてくれるのではないか。そんな本当に純な気持ちで縋ってしまう。私は、その人が私を経歴上騙していたとしても、救われた心地であったのです。

人を心から信じてしまうのは、いけないことだったのでしょうか?

未だに私には着地点を見つけられないでいます。もう彼のよしなにで構わぬのだから、私の純潔すらも守りたい気持ちなのです。

愚かだと、理解していても、恋に対する愚直さ、制作に対する真摯さ、形而上の懊悩、形而下での折り合い、勉強に関しても中々教授に踏み込んで質問もできず、教授の発する言葉の端々をメモ取り、それに対して内省的に思案し、私がどれ程の事柄に拘泥し、一つの事柄に対して真剣に取り組む様を、ご存知の方はご存知であり、私は恋に関しては包み隠さず向き合う姿勢でありました。

どんなにそれが理不尽であろうと、どんなにそれが都合良く扱われようと、倫理観に抵触していようと、相手を想う気持ちが、私にとっては、大切だったと、いつか伝えられる日が来ることを望んで、自分のやるべきものが、最早制作しかないというような心算に至っているのです。

私の慕う気持ちは、敬意から始まる事が多いと存じます。それが、純愛に向かうかはさて置き、尊敬する相手に認められたいのです。そして、自分の納得するものを作り上げていきたいのです。


これが、包み隠さず、私の素直な気持ちなのです。


学校からは集中治療法を言い渡され、11月から入院という手続きに入ります。

摂食障害の治療や体重や基礎体力をつくり、形而上や形而下の混色をしながら制作に励みたいです。教授はきっと、無理するなという姿勢ですが、私は無理してでも自分の制作に向き合いたいという意志が、とても強く沸き起こっていることを自覚しています。もっと、まなばさていただきたい、刺戟を受けたい。

故に、復学にいたったのです。

余りの自信のなさ、余りの自己肯定感の無さ、夢を追いかける程の実力の無さ。

でも、16.17歳の頃から、作る事に関しては、煮え滾る程の情熱というマグマが奥底を占めていた事を、私は殻に篭り押し殺していました。

クールさを装いつつも、そのマグマが煮え滾るのを、最早抑える事すらも不可能な事態でした。


私に作らせてください。もっと思慮させてください。納得できるものを作らせてください。その為になら、画材や制作費にお金を惜しむ心算つもりは、ないのです。

できる事なら、尊敬する先生方に、できることなら最愛の人に、やはり認めてもらいたいです。


脱線しましたが、福岡文フリの頒布予定です。新刊間に合わなかったので、既製品になりますが。

・透明物語・寄生・詩誌シリーズ第二弾まで既存の計4作品。

・間に合わないもの:新刊(ごめんなさい)

・DMサイズでショートショート無料配布。

以上になります。


無理するな。そういった配慮は大変ありがたいのです。しかし、死に向かっていた16.17歳の私からは考えられないような、意欲があることを、ここに示しておきたいと存じます。



小柳日向拝

文学フリマ大阪レポート及びカタログ表紙秘話

ご無沙汰しております。

日表造形社の小柳日向です。

 

ブログの更新は久々になりますが、皆様お変わりはありませんでしょうか。久々の日記なので、積もる話もありますので、長くなることは重々承知ですが、この地獄をガマンして読んで頂けたら大変嬉しいです。文学フリマ大阪のレポートだけでなく、制作の過程などの紹介もします。

 

さて、9/18大阪で開催されました、文学フリマ大阪に弊社もBー03のブースで出店させて頂きました

この度は、出店申し込みをした後に、突然の身内の不幸事があった為、弊社としては活動自粛モードになっておりました。

しかし、前回のカタログ表紙の千成瓢箪に引き続き、今回のカタログ表紙百舌の絵も担当させて頂いたご縁もありましたので、出店の取り下げはせず、参加する事となりました。

 

文学フリマ大阪事務局様には、このようなご縁を頂き、誠に感謝しております。


因みに昨年の千成瓢箪の画像もアップしておきます。


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制作秘話として、パネルに綿布、ジェッソ地、主に鉛筆デッサンとジェッソでの重ね塗りに描き足し、アクリルインクで依頼の通り臙脂色で纏めました。着彩は、油絵で加筆し、デッサンのライトさと、油絵と重厚さを表現する為に、敢えてミクストメディアという手法を取りました。


余談ですが、文学フリマ大阪事務局様の名刺も、臙脂色のイメージカラーということで、手掛けさせて頂けたのですが、機会があれば受け取ってみてはいかがでしょうか。


因みに、下記が前回の原画です。


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臙脂色という指定を頂いておりましたが、がっつり臙脂色にすると画面が煩くなるので、柔らかめを意識した制作となりました。


そして、そして、今回の文学フリマ大阪のメインの仕事として下記の作品を描きました。


 

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そしてこれが今回の百舌の依頼の表紙です。私は福岡が拠点なので、綿密な打ち合わせとコンセプトの擦り合わせ、はたまた前回の千成瓢箪では、原画サイズも小さめでしたし、デッサンを主体に、着彩を油絵で仕上げると言った具合で仕上げました。

が、今回の方が、完全に「最初から最後まで油絵で」という依頼だったので、前回よりも、手間と時間、画材費は掛かりましたが、重厚さを重視し、クライアントの意向に沿うように、はたまた対価以上の仕事を提供できるように尽力いたしました。


綿密な打ち合わせの際にコンセプトとして、大阪や堺市の象徴の鳥として、百舌の依頼を頂き、未来を見据える百舌の視線や、百舌の美しい毛並みを強調して描き、背景は青を主体として描きました。

本当に分かりにくい程度ですが、文学フリマ大阪のメインカラーである臙脂色を少しでも取り入れたく、そこは私の独断となりましたが、青の背景の中に紫に見えるような、淡い臙脂色をグレーズという手法で取り入れ、自然な形のグラデーションを心掛けました。


原画のサイズも、前回の千成瓢箪よりも大きめのサイズで制作し、支持体(パネルに綿布、ジェッソ地、今回は厚塗りではなく綿布の目を活かした支持体作りにしました)


依頼を受けてから、かなり時間をかけて描いた割に、勉強中で力不足の為、クオリティ面で不安でしたが、当日会場では、来場者の方に、「素敵な表紙だと話していたところです」と声を掛けて頂けた際は、体調不良と闘いながらも時間を掛けて制作したという報いが、得られたように感じ、大変幸甚でした。ありがとうございます。



さしたあり、会場までのトラブル等もついでにレポートとして記しておきます。

まず、弊社が福岡な為、赴くのは非常に厳しい状態でしたが、なんとか頑張ろうと思い、DMの準備をしている間に、新大阪行きの終電を逃してしまい、前日入りするつもりが、広島までの最終で向かい、初めての経験で不安感を抱えておりましたが、宿も無事に見つかり、一泊し、大阪に向かいました。

初めて、広島での宿泊の経験でしたので、かなり戸惑ってしまい、宿を探してもネカフェを探しても、カラオケを探しても、満室で絶望してしまい、混乱していたこともあり、友人に相談したりなどして、多大な迷惑を掛けたことを深く反省しております。

結句、ツテを辿って無事宿泊施設も見つかりましたが、かなり深夜でしたので、朝起きられるか不安な状態でした。

が、案の定寝坊してしまい、出展者来場の時間の10時に目覚めてしまい、今回は大遅刻して会場にたどり着きました。


お隣が友人の白昼社様でしたので、個人的には安心感はありましたが、白昼社様の方にも昨今色々とお世話になったり、ご迷惑をお掛けしていたので、謝罪と感謝の気持ちを伝えたかったのですが、うまく切り出せなくて、とても不甲斐ない思いでした。


ブースでは、今回売り子が私しか居なかったので、中々席を離れることも出来ず、お世話になった方へのご挨拶もできず、不義理をしてしまい申し訳ありません。


しかし、楽しみにしていた、白昼社様の書籍を手に入れることができましたので、個人的には大きな収穫だと認識しており、まだ読みかけの本もある上に、私が遅読なので、少し読み始めるのに時間がかかるかと存じますが、内容をとても楽しみにしております。


大遅刻した割には、割と手にとってくださる方も多くいらっしゃったので、大変感謝しております。是非、楽しんで読んでもらえたら幸いです。


閉場後は、去年なら全力で手伝っていたのですが、今回怪我をしていた為、重たいものが持てずに手伝えなくて申し訳ありません。


平素、引っ込み思案なのですが、一応打ち上げにも参加し、廃棄予定になるはずだった余ったDMを受け取ってくださった方、本当にありがとうございます。

参加者の方とも、運営の方とも有意義な話ができて、大変光栄でした。


二次会では個人的事情で、長らく会っていなかった、大阪在住の友人を呼ばせて頂いてありがとうございます。久々に会って積もる話もありましたが、ただただ会えただけで幸運でした。

二次会と三次会の間に、少し姿を眩ませてしまってすみません。少し事情があったもので……体力的にも限界だったので、三次会では殆ど横になっていましたが、お誘い頂けただけで、感謝の気持ちしかございません。


実は大阪滞在中、まだまだトラブルはあったのですが、書ききれないので割愛します!

ご迷惑をお掛けした方には、個人的に連絡を入れましたが、まずは、銘々の生活の為に、私のことは気になさらないようにして、皆様が元気になることだけを、祈るしかないという、不甲斐ない気持ちですが、本当に心から元気になって欲しいです。


以上が文学フリマ大阪のレポートになります!

しかし、今回久々の更新なので、まだまだ書きますがご容赦ください!

以下は、文学フリマ大阪事務局代表に許可を取って掲載しますが、

今回の、百舌の表紙の制作過程を紹介致します!


まずは、水彩で描いたラフ画です。



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これは、一発で通りました。



次に下絵です。



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これは、先程述べた支持体に、墨で描いた下絵です。



次にインプリマトゥーラという、地透層という段階です。地透層は人に寄っては、赤、もっと濃い目のこげ茶、青、など画風に寄って様々ですが、油絵の具の発色を良くする為の、大事な層でもあります。

昨今はインプリマトゥーラしない作家さんもいますし、画風に寄っては様々ですが、インプリマトゥーラは伝統的な技法です。


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インプリマトゥーラが完全に乾いた後、私が油絵を描く際は、基本的にグリザイユかカマイユという技法を使って、印影をつけてから着彩しますが、今回は、アラプリマという技法にチャレンジして描いてみました。



以下がアラプリマでの描き始めの画像です。



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個人的制作では、印影法を使うことが多いのですが、今回はカタログの表紙の依頼ということで、印影法は使わずシンプルで、暗めではあるけれど、淡い色彩で描くように考慮しました。



次は、ラフ通りのところまで来た段階です。



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少し左半分が太陽光で、明るくなってますが……



そして、完成系です。



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お気づきかも知れませんが、ラフにはない要素を描き足しました。

依頼では「百舌を描いて欲しい」というだけの依頼でしたが、"文学フリマ"というイベントを考慮した際に、降り注ぐ文学を描き足すことで、未来を見据える百舌と、その百舌に降り注ぐ、文学という偉大な情景を表現しました。

勿論、依頼にはなかったことなので、クライアントとは再び連絡を取り、描き足してもよいかという許可を取りました。

構図的にも、感覚的に"足りない"、"どこか寂しい"と完成間際に思案した末、降り注ぐ本を提案致しました。




大変長くなりましたが、如何でしたでしょうか?

前回も今回も一応表紙のみの作画で、文字入れは担当別です。


次回の、文学フリマ大阪の表紙も弊社に依頼が来ておりますので、次回もより良いものが描けるように、更に勉強を重ねていきたいと存じます!

今回、参加した方も、できなかった方も、次回の文学フリマ大阪でお待ちしております!


今回は、レポートと制作秘話だけに留めておきますが、弊社も活動方針を徐々に変えていっているところなので、また、活動方針や近況報告、書籍案内、装丁依頼、名刺デザインなど、告知もしていきますので、今後とも弊社をよろしくお願い申し上げます!!



日面造形社代表:小柳日向









第五回福岡ポエイチ出展作品

昨今愚痴ばかりこぼしてきたが、そうは云ってられない。

この度日表造形社では詩誌シリーズ第二弾を刊行する予定である。

 

⚫︎タイトル「如雨露の泪」テーマー情ー

執筆陣(敬称略)

川部贒

山本清風

泉由良

上住断靭

牟礼鯨

小柳日向

 

値段:500円

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新進気鋭の散文作家及び詩人、俳人、はたまた木彫り作家をお誘いした、詩及び俳句の詩誌となっている。

テーマを前回と違って儲けたことにより、それぞれの作家の内臓深くから浮き彫りになった詩情が絡み合った濃厚な作品に仕上がっていく予定である。

予定というものまだ組版段階で、急いではいるのですが、必ずポエイチまでには間に合わせます。

 

⚫︎もう一点、間に合えば、高村暦、坂上悠緋、小柳日向の

小説共著企画「ぼくは自殺なんてしない」を頒布いたします。

表紙仮

値段はまだ未定。

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こちらは、「ぼくは自殺なんてしない」というテーマで三人が三様の、ホラー、猟奇ミステリー、純文学サスペンスを描いた作品で、かなり恐怖と密接した濃厚な作品集に仕上がっております。

 

以下、既刊の案内

⚫︎「透明物語」

値段:700円

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小柳日向が初めて執筆した単著。純粋さを求めて人と人を天秤にかけながら理想を追い求める。甘くも切ない恋の物語集である。

一番人気の本であるのでお買い求めて間違いない作品だと思われます。

 

⚫︎「二日酔いのモナムール」

著者(敬称略)

上住断靭

泉由良

森井聖大

小柳日向

牟礼鯨

値段:500円

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詩誌シリーズの第一弾となり、テーマは不在だが、酒と女と詩、といった共通のワードから導き出された全体の世界観も味わえる。

なにより第一弾ともあってパンチが効いていてロックな詩誌である。

第二弾と合わせてお買い求め頂いてはいかがだろうか。

 

⚫︎「寄生」

値段:600円

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愛と暴力のための純文学。小柳日向自身の単著の二作品めとなる。

前回の「透明物語」と異なり、荒涼とした虚しい世界を味わうことができるだろう。虫と感情をテーマに、何を媒介として虫が見えてくるのか、虫とはなんの象徴であるのか考えながら読んでいってもらいたい。切なさに胸を締め付けられたい人にオススメの小説である。

 

 

以上が、頒布物である。

会場ではc−9日表造形社でお待ちしております。

 

リノベーションミュージアム冷泉荘

福岡県福岡市博多区上川端町9番35号

事務局お問い合わせ番号:092−720−2122

 

 

日表造形社代表 小柳日向

日表造形社2016年抱負

あけましておめでとうございます。

日表造形社代表の小柳日向です。

昨年度は四月にこの結社を結成し、五月に「透明物語」、六月に「二日酔いのモナムール」、九月に「寄生」を発刊する運びとなりまして、大変激動の年でありました。

また大坂文庫さまのアンソロジーシリーズの表紙絵や文学フリマ大阪さまのカタログの表紙など、装幀に関わる仕事にも手を拡げる年となり、関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいであります。

 

さて、今年の抱負なのですが、色々と考えを巡らせましたが、日表造形社としましては安定した経営とともに事業も拡大していきたいところ。少し箇条書きでまとめていきます。

①新刊の刊行(6月に詩誌シリーズ第二弾。11月に個人本、まだプロットすらも未定ですが)

②アマゾンでの通販(やはり多くの方に弊社の刊行物を手に取ってもらうには一番だと思います)

③装幀画の営業(弊社の看板となる事業にしていきたいので、技術も磨いていきたいと考えております)

 

概ね、弊社としては以上であります。

小柳が今年勤め先で今のところどうなるかわからないプロジェクトを任されそうなので、文学フリマへの参加が危ぶまれます。委託などでお世話になることもあるかと思いますが、その際はよろしく御願いいたします。

また、五月の文学フリマ東京には参加予定ですが、まだ会社との兼ね合いがありますので、こちらも参加できるように善処したいところですね。

 

次に小柳自身の抱負はなんだろうか、と考えたところ、やはり健康に過ごすことが一番だと毎年思います。

一喜一憂しやすいタイプの人間なので、何事にも落ち着いて対処できるように、冷静な判断を求めていく年にしたいと思います。

あとは、楽しむことですね。何事も。苦しいことばかり目を向けていてはならないとよく痛感せられます。弱音はよく吐くかとは思いますが、生きて生きて生き抜けるように、そして元気な姿で皆さまとお会いできるように努めていきたいと思います。

 

日表造形社 小柳日向

 

大阪ポエトリーリディング並びに文学フリマ大阪御礼及び文学フリマ福岡参加宣言

初秋の頃、夜長めっきり肌寒くなりました頃、皆様に於かれましてはご壮健のこととお喜び申し上げます。

今回のブログは少々長くなりますが、この地獄を耐え、最後までお読みいただければ僥倖です。

 

さて、先日の9/20に開催されました文学フリマ大阪では大変お世話になりました。たくさんの方とお話しする機会は、引きこもりの私にとっては滅多になく、大変刺戟的な日となりました。手にとってくださった方の中でも、パラパラっとめくり、共感を得たというようなことでご購入いただいた方もあり、こうした手売りのイベントは一期一会の一言に尽きます。

また前日のポエトリーリーディングは初めてのイベントで、身体が痺れるような感動をいただきました。楽しい詩あり、寂しい詩あり、趣のある空間で詩情と遊ぶ感覚は新鮮なものでありました。

合宿のような宿に泊まらせていただいて、作家陣と夜な夜な修学旅行のように語り明かしたこともよい思い出です。

皆様本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

 

そして、弊社の拠点である福岡でなんと文学フリマが開催されるということで、弊社もその恩恵に預かり、出店する運びとなりました。ゆくゆくはもっと福岡が文学の街として繁栄することを願いながら、本の頒布に勤しみたい所存です。

 

 

この度の出店に預かり、二点告白しなければならないことがあります。

1点目、弊社は大坂文庫さまと合体配置します。

2点目、弊社は文学結社猫さまの委託販売をします。

 

まず1点目の告白で申したように弊社は大坂文庫さまと合体配置するのですが、それにあたって、無料配布本を頒布します。

「日表造形社×大坂文庫」0円

 

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日表造形社メンバーである小柳日向と、大坂文庫メンバーである上住断靭、猿川西瓜の掌編集を載せた、無料お試し版みたいなものです。会場内で5分くらいで読める仕様になっているので、気になった方はまたあ−05,06に立ち寄っていただければ幸甚。

 

 

また、合体配置企画として二冊購入の方はお得な100円の割引をいたします。

 

 

 

次に2点目の告白でしたように、文学結社猫さまからの委託作品から紹介させていただきます。

 

 

「私はあなたに触れたいという欲求が私はあなたに触れられないという禁則から逆説的に生まれていることを知ったとき、私はあなたに生かされていると感じる」(通称:イカサレ) 500円

 

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美少女は読んでいる。美少女になりたい人も読んでいる。美少女が好きな人も読んでいる。

架空の街浦崎で展開される川原明日架という美少女視点で進行する物語。独特の文体でありながらにしてスピード感のある読みやすさ、またえもいわれぬ詩情にいつの間にか絶望に追い詰められてしまう。

 

あなたは物語の展開にどこまでついていけるだろうか?

 

 

「夜の信号が何処までも青なら。」700円

 

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 堕ちてゆくのを感じている。
 出逢ったときを覚えている。
 別れるときを、知っている。


 この本を手にする時、諸氏は何を期待しているだろうか。或いはどんな可能性を夢見るだろうか。クソサブカルナイーブ野郎こと国重崇一の視点から描かれる物語は、男の野卑ないやらしさや勝手きわまる処女信仰、少女に対する幻想だとか十代の自意識だとか、どれを取ってみても救われない。それでいて、救いを求める精神が肉体からは離脱し、救いを必要とする当人を俯瞰して物語は進むのである。徒に運命のサイコロ遊びに興じ、あまねく読者の期待や夢を裏切り、物語は閉じられ、読み終えた暁には本を投げ出し叩きつけたくなるほどの絶望に包まれているだろう。読み応えのある文体に、質量のある詩情。何かに期待しては裏切られ、痛みやつらみかなしみを知るあなたにこそ読んでほしい作品である。

 

この物語に救いはあるのか?

 

 

続いて弊社刊行物の案内

 

 

小柳日向 最新刊「寄生」 600円

愛と暴力の為の、純文学。
母子家庭で育ち、虐待に耐え、世の中を恨みながらもしあわせになる為に祈る17歳の主人公、倉橋龍。主人公に寄生し出す幻覚の虫を巡り、限りない透明度を希求して、私たちは循環してゆく。

 

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引きこもったり、虫の幻覚に悩まされたり、心から信じられる友人ができたり、その友人と傷つけ合ったり、初めて恋を知ったり、凡そ青春のすべてが詰まっている。それでいて、やりきれない暴力や愛情の波に飲まれ、しあわせになりたいはずなのに、受動的にしか動けない。もどかしさ。暴力と愛の境目はどこにあるのだろうか……?苦しみもがき、果てなく循環するセンチメンタル。憎悪に満ちた虫の幻覚をめぐる人間模様。

 

あなたはこの物語に耐えられるだろうか?

 

 

 

 

日表造形社詩誌シリーズ第一弾 500円

「二日酔いのモナムール」

 執筆陣:上住断靭、泉由良、森井聖大、小柳日向、牟礼鯨の五人を迎えた日表造形社が企画する詩誌シリーズの第一弾である。  散文作家や俳人が韻文に挑んだ究極にロックな詩集になっている。  詩誌と謳いながらも、詩あり、俳句あり、短歌あり、落語あり、と幅広い表現で作家の独自の世界を繰り広げている。  手元に持っておきたい一冊である。

 

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五人の思惑が錯綜する。極めて珍しい詩誌。

 

何度も読みたくなるような詩情がそこにはある。

 

 

 

小柳日向 初短編集「透明物語」 700円

純粋なまま現代を生き抜くことは容易いことではない。確実に大人として生きていかなければならない。
濁されていく精神を引き摺り、それでも純粋に生きるため透過する少女と、その少女を追いかける男の優しい物語、透明物語。
その他、三編の透明系短編、一編の詩を収録。嘘と本当、触れられるものと触れられないもの、過去と未来、理想と現実。私たちは何かを天秤に掛けながら選択を迫られ生きている。
これは純粋でありたい人のための愛と切なさの物語集である。

 

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今年の5月に発刊し6月には売り切れた短編集。

ついに増版決定。

第二版を刊行するにあたって、内容を一編さしかえた。

第一版で収録されていた「透明人間」という物語を外し、「透映」という話をさしこんだ。

掲載順としては、「透漏」「透写」「透明物語」「透映」「透視」となっている。

どの短編も、息苦しい現代に生きるものが、呼吸しやすい透明な空気を求めて生きる話である。

 

死んでしまいたいほど息苦しいあなたに読んでもらいたいのである。

 

 

 

大変長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは文学フリマ福岡10/25、都久志会館4階

あ−05、06にてこころよりお待ち申し上げております。