文学フリマ大阪レポート及びカタログ表紙秘話
ご無沙汰しております。
日表造形社の小柳日向です。
ブログの更新は久々になりますが、
さて、9/18大阪で開催されました、
この度は、出店申し込みをした後に、
しかし、前回のカタログ表紙の千成瓢箪に引き続き、
文学フリマ大阪事務局様には、このようなご縁を頂き、
因みに昨年の千成瓢箪の画像もアップしておきます。
制作秘話として、パネルに綿布、ジェッソ地、主に鉛筆デッサンとジェッソでの重ね塗りに描き足し、アクリルインクで依頼の通り臙脂色で纏めました。着彩は、油絵で加筆し、デッサンのライトさと、油絵と重厚さを表現する為に、敢えてミクストメディアという手法を取りました。
余談ですが、文学フリマ大阪事務局様の名刺も、臙脂色のイメージカラーということで、手掛けさせて頂けたのですが、機会があれば受け取ってみてはいかがでしょうか。
因みに、下記が前回の原画です。
臙脂色という指定を頂いておりましたが、がっつり臙脂色にすると画面が煩くなるので、柔らかめを意識した制作となりました。
そして、そして、今回の文学フリマ大阪のメインの仕事として下記の作品を描きました。
そしてこれが今回の百舌の依頼の表紙です。私は福岡が拠点なので、綿密な打ち合わせとコンセプトの擦り合わせ、はたまた前回の千成瓢箪では、原画サイズも小さめでしたし、デッサンを主体に、着彩を油絵で仕上げると言った具合で仕上げました。
が、今回の方が、完全に「最初から最後まで油絵で」という依頼だったので、前回よりも、手間と時間、画材費は掛かりましたが、重厚さを重視し、クライアントの意向に沿うように、はたまた対価以上の仕事を提供できるように尽力いたしました。
綿密な打ち合わせの際にコンセプトとして、大阪や堺市の象徴の鳥として、百舌の依頼を頂き、未来を見据える百舌の視線や、百舌の美しい毛並みを強調して描き、背景は青を主体として描きました。
本当に分かりにくい程度ですが、文学フリマ大阪のメインカラーである臙脂色を少しでも取り入れたく、そこは私の独断となりましたが、青の背景の中に紫に見えるような、淡い臙脂色をグレーズという手法で取り入れ、自然な形のグラデーションを心掛けました。
原画のサイズも、前回の千成瓢箪よりも大きめのサイズで制作し、支持体(パネルに綿布、ジェッソ地、今回は厚塗りではなく綿布の目を活かした支持体作りにしました)
依頼を受けてから、かなり時間をかけて描いた割に、勉強中で力不足の為、クオリティ面で不安でしたが、当日会場では、来場者の方に、「素敵な表紙だと話していたところです」と声を掛けて頂けた際は、体調不良と闘いながらも時間を掛けて制作したという報いが、得られたように感じ、大変幸甚でした。ありがとうございます。
さしたあり、会場までのトラブル等もついでにレポートとして記しておきます。
まず、弊社が福岡な為、赴くのは非常に厳しい状態でしたが、なんとか頑張ろうと思い、DMの準備をしている間に、新大阪行きの終電を逃してしまい、前日入りするつもりが、広島までの最終で向かい、初めての経験で不安感を抱えておりましたが、宿も無事に見つかり、一泊し、大阪に向かいました。
初めて、広島での宿泊の経験でしたので、かなり戸惑ってしまい、宿を探してもネカフェを探しても、カラオケを探しても、満室で絶望してしまい、混乱していたこともあり、友人に相談したりなどして、多大な迷惑を掛けたことを深く反省しております。
結句、ツテを辿って無事宿泊施設も見つかりましたが、かなり深夜でしたので、朝起きられるか不安な状態でした。
が、案の定寝坊してしまい、出展者来場の時間の10時に目覚めてしまい、今回は大遅刻して会場にたどり着きました。
お隣が友人の白昼社様でしたので、個人的には安心感はありましたが、白昼社様の方にも昨今色々とお世話になったり、ご迷惑をお掛けしていたので、謝罪と感謝の気持ちを伝えたかったのですが、うまく切り出せなくて、とても不甲斐ない思いでした。
ブースでは、今回売り子が私しか居なかったので、中々席を離れることも出来ず、お世話になった方へのご挨拶もできず、不義理をしてしまい申し訳ありません。
しかし、楽しみにしていた、白昼社様の書籍を手に入れることができましたので、個人的には大きな収穫だと認識しており、まだ読みかけの本もある上に、私が遅読なので、少し読み始めるのに時間がかかるかと存じますが、内容をとても楽しみにしております。
大遅刻した割には、割と手にとってくださる方も多くいらっしゃったので、大変感謝しております。是非、楽しんで読んでもらえたら幸いです。
閉場後は、去年なら全力で手伝っていたのですが、今回怪我をしていた為、重たいものが持てずに手伝えなくて申し訳ありません。
平素、引っ込み思案なのですが、一応打ち上げにも参加し、廃棄予定になるはずだった余ったDMを受け取ってくださった方、本当にありがとうございます。
参加者の方とも、運営の方とも有意義な話ができて、大変光栄でした。
二次会では個人的事情で、長らく会っていなかった、大阪在住の友人を呼ばせて頂いてありがとうございます。久々に会って積もる話もありましたが、ただただ会えただけで幸運でした。
二次会と三次会の間に、少し姿を眩ませてしまってすみません。少し事情があったもので……体力的にも限界だったので、三次会では殆ど横になっていましたが、お誘い頂けただけで、感謝の気持ちしかございません。
実は大阪滞在中、まだまだトラブルはあったのですが、書ききれないので割愛します!
ご迷惑をお掛けした方には、個人的に連絡を入れましたが、まずは、銘々の生活の為に、私のことは気になさらないようにして、皆様が元気になることだけを、祈るしかないという、不甲斐ない気持ちですが、本当に心から元気になって欲しいです。
以上が文学フリマ大阪のレポートになります!
しかし、今回久々の更新なので、まだまだ書きますがご容赦ください!
以下は、文学フリマ大阪事務局代表に許可を取って掲載しますが、
今回の、百舌の表紙の制作過程を紹介致します!
まずは、水彩で描いたラフ画です。
これは、一発で通りました。
次に下絵です。
これは、先程述べた支持体に、墨で描いた下絵です。
次にインプリマトゥーラという、地透層という段階です。地透層は人に寄っては、赤、もっと濃い目のこげ茶、青、など画風に寄って様々ですが、油絵の具の発色を良くする為の、大事な層でもあります。
昨今はインプリマトゥーラしない作家さんもいますし、画風に寄っては様々ですが、インプリマトゥーラは伝統的な技法です。
インプリマトゥーラが完全に乾いた後、私が油絵を描く際は、基本的にグリザイユかカマイユという技法を使って、印影をつけてから着彩しますが、今回は、アラプリマという技法にチャレンジして描いてみました。
以下がアラプリマでの描き始めの画像です。
個人的制作では、印影法を使うことが多いのですが、今回はカタログの表紙の依頼ということで、印影法は使わずシンプルで、暗めではあるけれど、淡い色彩で描くように考慮しました。
次は、ラフ通りのところまで来た段階です。
少し左半分が太陽光で、明るくなってますが……
そして、完成系です。
お気づきかも知れませんが、ラフにはない要素を描き足しました。
依頼では「百舌を描いて欲しい」というだけの依頼でしたが、"文学フリマ"というイベントを考慮した際に、降り注ぐ文学を描き足すことで、未来を見据える百舌と、その百舌に降り注ぐ、文学という偉大な情景を表現しました。
勿論、依頼にはなかったことなので、クライアントとは再び連絡を取り、描き足してもよいかという許可を取りました。
構図的にも、感覚的に"足りない"、"どこか寂しい"と完成間際に思案した末、降り注ぐ本を提案致しました。
大変長くなりましたが、如何でしたでしょうか?
前回も今回も一応表紙のみの作画で、文字入れは担当別です。
次回の、文学フリマ大阪の表紙も弊社に依頼が来ておりますので、次回もより良いものが描けるように、更に勉強を重ねていきたいと存じます!
今回、参加した方も、できなかった方も、次回の文学フリマ大阪でお待ちしております!
今回は、レポートと制作秘話だけに留めておきますが、弊社も活動方針を徐々に変えていっているところなので、また、活動方針や近況報告、書籍案内、装丁依頼、名刺デザインなど、告知もしていきますので、今後とも弊社をよろしくお願い申し上げます!!
日面造形社代表:小柳日向