hinatazoukeisha’s blog

日表造形社:2015年4月創立純文学文芸結社。主催:小柳日向。活動:主に純文学小説の創作と販売。傍で、詩誌のアンソロジー企画と装丁画の外注や紙媒体のデザインも請け負っている。

文フリ大阪新刊既刊頒布告知

お待たせいたしました。まずは新刊の方から告知いたします。

 

小柳日向 最新刊「寄生」 600円

愛と暴力の為の、純文学。
母子家庭で育ち、虐待に耐え、世の中を恨みながらもしあわせになる為に祈る17歳の主人公、倉橋龍。主人公に寄生し出す幻覚の虫を巡り、限りない透明度を希求して、私たちは循環してゆく。

 

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引きこもったり、虫の幻覚に悩まされたり、心から信じられる友人ができたり、その友人と傷つけ合ったり、初めて恋を知ったり、凡そ青春のすべてが詰まっている。それでいて、やりきれない暴力や愛情の波に飲まれ、しあわせになりたいはずなのに、受動的にしか動けない。もどかしさ。暴力と愛の境目はどこにあるのだろうか……?苦しみもがき、果てなく循環するセンチメンタル。憎悪に満ちた虫の幻覚をめぐる人間模様。

 

あなたはこの物語に耐えられるだろうか?

 

 

日表造形社詩誌シリーズ第一弾 500円

「二日酔いのモナムール」

 執筆陣:上住断靭、泉由良、森井聖大、小柳日向、牟礼鯨の五人を迎えた日表造形社が企画する詩誌シリーズの第一弾である。  散文作家や俳人が韻文に挑んだ究極にロックな詩集になっている。  詩誌と謳いながらも、詩あり、俳句あり、短歌あり、落語あり、と幅広い表現で作家の独自の世界を繰り広げている。  手元に持っておきたい一冊である。

 

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五人の思惑が錯綜する。極めて珍しい詩誌。

 

何度も読みたくなるような詩情がそこにはある。

 

小柳日向 初短編集「透明物語」 700円

純粋なまま現代を生き抜くことは容易いことではない。確実に大人として生きていかなければならない。
濁されていく精神を引き摺り、それでも純粋に生きるため透過する少女と、その少女を追いかける男の優しい物語、透明物語。
その他、三編の透明系短編、一編の詩を収録。嘘と本当、触れられるものと触れられないもの、過去と未来、理想と現実。私たちは何かを天秤に掛けながら選択を迫られ生きている。
これは純粋でありたい人のための愛と切なさの物語集である。

 

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今年の5月に発刊し6月には売り切れた短編集。

ついに増版決定。

第二版を刊行するにあたって、内容を一編さしかえた。

第一版で収録されていた「透明人間」という物語を外し、「透映」という話をさしこんだ。

掲載順としては、「透漏」「透写」「透明物語」「透映」「透視」となっている。

どの短編も、息苦しい現代に生きるものが、呼吸しやすい透明な空気を求めて生きる話である。

 

死んでしまいたいほど息苦しいあなたに読んでもらいたいのである。

 

 

 

以下、大坂文庫さまより委託作品。

 

上住断靭「忍嚆矢」 500円

上住断靱が過去に書いた四編。伊賀忍者を中心とした忍者小説短編集。
                                                              
「鷹の目」(たかのめ)
甲賀忍者杉谷善住坊は鉄砲の腕に自信を持っていた。
信長狙撃依頼を機に天下に名を轟かせるべく、信長狙撃に挑むが……。

「野火の銀八」(のびのぎんぱち)
秀吉の四国攻略、蜂須賀小六より四国一宮城貯水池破壊の命を受けた川並衆、小野銀八郎と長宗我部忍者、竹内虎之助との攻防。

「雨請山砦」(あまごいやまとりで)
甲賀武士、望月猪太郎は名を上げるべく子分を連れて、天正伊賀の乱に蒲生軍として参戦するが・・・・・・。

「忍嚆矢」(しのびこうし)
天正伊賀の乱において伊賀、島ヶ原党代表の富岡忠兵衛は不戦を示すが、自らは伊賀を守るために決戦の地、比自山へと一人駆ける。公と自を分けた冷静ながらも血気盛んな彼は、戦場で何を見たのか。

最後に丁寧な解説つきです。
主人公は実在した忍者をモデルにしています。

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アンソロジー第四弾「だが、何のために?」 1000円

文学アンソロジー第四弾
テーマは「懊悩」
今回は十人の作家が参加しています。

幸せにしてあげましょう(テーマ掌編)  上住断靭
ザクラ                 猿川西瓜   
Zombitch!!!!!──             山本清風
小説 日本昔ばなし            ふかやねぎ  
後輩書記とセンパイ会計、無念の骸骨に挑む 青砥十  
万華鏡                 小柳日向
薄荷党日記                 泉由良
だが、なんのために?           上住断靭 
虹は心を見抜けない              稲荷古丹
坂上悠緋の描いた懊悩というなにか   坂上悠緋
若き物書きの悩み              蟹川弘明

装幀画 小柳日向
組版   白昼社

 

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私事ではありますが、弊社では装幀を携わらせていただいたことと、小説も寄稿させていただきました。

「万華鏡」という話を寄稿しております。

この話は懊悩がテーマであるだけ、四人の登場人物の内面を限りなく追求し、怠惰さや虚しさ、それらを許容するような人間関係。だれも互いの懊悩に気づかず、自分のみしか見えないような苦しみを描いたつもりです。

 私が書いたものはさておき、様々なテイストの懊悩が集まった作品集になっていると思います。個人的には、山本清風、泉由良、上住断靭の懊悩は骨身にしみるものがありますね。

 

君たちは作家が読む側に突きつける懊悩を味わい切れるだろうか?

 

 

 

文学フリマ大阪A-26.27にて頒布予定。

乞うご期待。

 

9/20文学フリマ大阪参加宣言A-26.27

この度日表造形社は第三回文学フリマ大阪に参加することを宣言いたします。(まだ新幹線とれていません)

さて、参加するにあたり、大事なお知らせとして、弊社は文学結社猫さまと合体配置する運びになりました。

その名も「日表造結社猫」の結成です。

ブースでは猫が金魚にいたずらしているかわいいPOPを目印に、お立ち寄りください。このPOPで仕立てた表紙のフリーペーパーもご用意する所存であります。

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小柳日向と山本清風の掌編が収録されたフリーペーパーになっております。会場で5分くらいで読めるような仕様になっているので、気になる方は読んでからまた遊びに来て頂いたら幸甚でございます。

収録作品

小柳日向「オレンジとレモンイエロー」

甘酸っぱくリズム感のある掌編となっている。

山本清風「二十三回目の童貞」「やさしさの半分は告訴」

清風節の効いた独特な文体で繰り広げる掌編二編。

 

コラボ企画ということで、どちらの結社の作品でも構わないし、二つの結社の作品から1冊ずつでも構いませんが、2冊同時購入で100円割引のサービス付き!!

 

会場に来られた際はぜひA-26.27にお越しください。

 

 

頒布物の告知、新刊告知は次回のブログでします。

 

第4回福岡ポエイチレポート

 

 

 

轟然と音を立てる雄大な滝の前に座り尽くしていた。スケッチブックを手に滝のマイナスイオンをダイレクトに浴びる位置で、寒さに耐えている。が、そういえば今日はポエイチではなかったか?と頭の片隅に考えが起こった。

ポエイチ初日になぜ私は天山の山奥にいるのだろうかという当たり前の疑問は、周りにスケッチしている同じゼミの友人たちの表情を見て消えていった。

平素から単位の取れない私は授業に出るしかないのである。しかも、うまく描けなくて泣けてきたところである。が、描くことは楽しいのである。なんだかちぐはぐな思いを胸に持っていた。

事前情報では菖蒲園に行くと聞いていたが、菖蒲園は午前のみで、これもうまく描けなかった。あたり一面に広がる菖蒲の花の美しい色合いに見とれていたのだが、滝の前では疲労がピークに達していた。

山を下るころには日は西に傾き、情景は刻一刻と移り変わっている。

学校で講評を終え、特急で博多に向かうころには途中下車して自宅に帰りたい気持ちが垂れ込めていた。

 

山奥にいる間に福岡ポエイチ1日目は終了していた。

弊社は大坂文庫に作品を委託していたはずであるが、一体全体どんな首尾であったのだろうか。1日目、大坂文庫代表の上住さんには売り子をするという約束を果たせない代わりに、ちゃんみおという弊社の専属売り子を派遣した。ロングヘアーのわいわいと明るいわんころみたいな女の子である。ちゃんみおとは短大の時に出会ったのだが、平素から連絡が取れるわけではなく、昨今餌付けをしていたら懐いてきた。という次第である。所謂、マブダチなのである。

ちゃんみおはああ見えて人見知りであるので、初対面の人には異様な絡み方をするので心配もしていたが、なんのことはなかった。

「二日酔いのモナムール」の打ち上げに合流した時、場に馴染みすぎるほと馴染んだちゃんみおを見てホッとしたのと同時に、ゆらさん、にゃんしーさん、上住さん、そして鯨さんの顔を視認すると、俄かに疲れも和らぎ嬉しい気持ちが込み上げてきた。

山奥に引き込んでいる予定であったので、幹事は上住さんに丸投げしていたのだが「ひなた」という気の利いた店を予約していた様子。

ゆらさんからは台湾のお土産を頂き、私の方からは今回の「二日酔いのモナムール」の執筆陣に金魚の手ぬぐいを贈呈した。喜んでいただけるか心配であったが鯨さん曰く「小柳日向だと思って使う」とのことであった。

一次会は到着してほぼすぐにお開きな感じであったが、二次会には道路向かいにあるスペイン・バルへ移動した。

昼間滝を目の前にしていたことが夢の中の出来事に思えるほど、刻は楽しく音の速さで流れていった。

森井聖大が合流してからの朗読会も迫力があり圧倒されっぱなしであった。私は照れ屋であるので朗読に参加できずに、ゆらさんやにゅんしーさんのパフォーマーとしての貫禄が印象的であった。

私は隅っこの方で、ちゃんみおと通称「みおひな体温差発電」と言われる発電を遅々としていた。私の低体温の手とちゃんみおの高体温な手を近づけると、気流ないしは電流が発生する。というからくりになっている。その発見をした鯨さんはとても楽しそうにしていて可愛らしかった。

森井さんとは二年ぶりの再会であり新鮮であった。

小柳はお酒に弱いので案外にすぐ酔った様子で、次の日の二日酔いを気にしながら、ヴェローチェでのひと時をのんびりと過ごし、一行と別れを告げた。

 

二日目はやはり二日酔いで頭が痛かった。懸念していた通り、上住さんが遅刻してやってきて、二人で会場に12:00に滑り込んだ。

ポエイチというイベントは不思議なイベントだと思う。冷泉荘という建物がその不思議を生み出すのか、のんびりとしたイベントである。イベントでは頭がぼんやりしていたこともあり、所々記憶が飛んでいる気がする。

加藤治郎さんによるパフォーマンスの後、ちゃんみおが遊びに来た気配がして私は席を立ち冷泉荘の入り口まで向かえにいった。ちゃんみおと会場をぐるりとまわり、気になった作品から手にとっていった。私は基本的に一目惚れした作品を買うという傾向があるので、値段は気にせずいいものを購入した。気になるものはやはり手間暇がかかっているな、という印象。

大坂文庫の隣の高森さんには、昨日もちゃんみおは餌付けをしていただいていた様子で、わんわんと懐いていっておかしかった。

冷泉公園で鯨さんに頂いた、クリームパン(ほぼクリーム)を食べて、ちゃんみおと談笑していた。私の目から見たちゃんみおは楽しそうであったので、今回のイベントに連れてきてよかったなと感じた。

冷泉荘に戻ろうとすると、丁度帰ろうとしている鯨さんに駐車場でばったりと会った。

「福岡に移住してくださいよ」

などという冗談を言いながらも、熱い握手を交わして鯨さんは大きく手を振りながら去っていった。

 

結果として、本も結構頒布できたのではないかという印象であった。1日目はちゃんみおのおかげで「二日酔いのモナムール」がよく売れ、二日目は散文を好む客層だったのか「透明物語」がよく売れ、完売に至った。

大坂文庫さんの刊行物も去年の倍は売れたという報告を聞き、胸をなでおろした。

日表造形社詩誌シリーズ第一弾と銘打っているからには、第二弾もあるはずであるが、当面はこの第一弾が弊社の看板作品になるだろうと思う。「二日酔いのモナムール」は居場所を失った人や、居場所を作ろうとする人が必然的に集まったような企画であった気がする。いや、集めたのは私なのであるが、なんとなく集まってきたという印象が私の中であるのだ。

言うならば、「二日酔いのモナムール」が欲した作家陣がこの面子であったのだろう。

大坂文庫並びに、日表造形社の刊行物を手にとってくださった方、本当にありがとうございました。

 

そして、次の日学校がある私は、打ち上げに参加することなく帰宅したが、ブログ読者は気がついていると思うが、やはり学校には行っていない。

学校に行けるようになるのが当面の課題である。そうして楽しかった日の夜に寂しくなって泣いてしまうような私。これからも頑張って活動したい。と、思ったり、もうやめたい、と思ったり。

そうこうしながら、楽しかった思い出を振り返って、一人では発電できないのだけれど、低体温の両手を合わせてみたりしながら、ポエイチが終わった夜は更けていった。

 

 

 

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第4回福岡ポエイチ作品紹介 その②

 

 

2015年6月6・7日12時〜17時、冷泉荘、福岡市博多区上川端町9−35 にて第四回福岡ポエイチが開催される。
今回のブログでは日表造形社が委託させていただくa-8大坂文庫さまの刊行物についての紹介をさせていただく。
(間借りさせていただく身でありながら、弊社の刊行物しか紹介していなかったことに一抹の申し訳なさがよぎった。)


①帰宅したら弟がニート(既刊)
大坂文庫アンソロジー企画第一弾。
テーマ不在であり、作家陣を公募で集めた。
そしてこれが大坂文庫が結社して初の刊行物になる記念すべき一冊である。五人の作家によって書かれ、読みやすい仕上がりとなっている。弊社の小柳は小説ではなく装幀の方で携われせていただいた。思い返せばこれが二年前の出来事なのである。まだまだ、弊社が結社するなど夢にも思わなかった頃の話であると考えると思い出深い一冊である。

 

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②あの心地を求めて時速六十キロ(既刊)
アンソロジー企画第二弾。テーマ「偏愛」。
偏愛というテーマだけに色濃ゆい作品が8作品も掲載されている。我々が通常では体験し得ないような愛の形を追体験することができる仕様になっている。この本では弊社はノータッチですが、小柳は猿川さんと上住さんの作品とか好きだったりするので、是非読んでほしい。

 

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③見上げた男(既刊)
アンソロジー企画第三弾。テーマ「虚勢」
「見上げた男!彼を私はよく知っている。彼はまず妻を殴っておいて、妻の髪をすいてやる。(ゲーテ)」。
この本から既存の本の一部からタイトルを持ってくるという試みに至ったらしい。いいタイトルだと思う。
執筆陣も10人と急増し、テーマ掌編を合わせれば11作品も掲載されている。こんなに作品があれば好みの作品を見つけたい放題である。一応小柳は小説を寄稿している。
作家陣の腕がすごいと思う一冊。オススメの本。

 

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④だが、何のために?(新刊)
アンソロジー企画第四弾。テーマ「懊悩」。
題名はクラーク「幼年期の終わり」より抜粋されたよう。
今回も執筆陣10人、11作品だが、前回とメンバーは少しだけ入れ替わり、また違ったテイストの作品が入り混じったアンソロジーになっている。新刊なだけに、銘々気合の入りようが素晴らしく、一つ一つの作品に厚みがある。陰では鈍器と呼ばれるような分厚さ。小柳は再び小説を寄稿。また、今回弊社を立ち上げた際の装幀画依頼第一号がこの「だが、何のために?」であったりするので、弊社としても記念すべき一冊・・・。実は、在庫残り少ないそう。お早めにお買い求めください。

 

 

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⑤忍嚆矢(既刊)
上住断靱著作。
大坂文庫さまの代表をされている上住さんの単著。忍者小説短編集。
ハードボイルドな文体で繰り広げられる世界観が読みどころな作品となっている。歴史物が好きな方にオススメ。

 

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⑥めんたいたこやき(新刊)
大坂文庫上住断靭×日表造形社小柳日向著作。
初めての共著であり、日表造形社を結社するにあたって文学フリマでの合体配置などの企画の一環として発刊された新刊である。
めんたいことたこやきのゆるきゃらが目印の表紙だが、中身は大阪と福岡の旅行記のようなラブコメディを書いている。担当のページを交互に書いて制作したので、どちらがどのパートを書いているのか考えて読んでもいいかもしれない。

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大坂文庫の刊行物は以上である。福岡ポエイチという詩のイベントだが、すべて小説の本である。しかし、小説の中にも詩的な要素とは多分にあるものである。
小説だからといって見逃すのはもったいない。是非、立ち止まってお気に入りの作品を見つけて欲しい。

 

 

 

 

第4回福岡ポエイチ参加宣言及び作品紹介 その①

6/6.6/7に開催される第四回福岡ポエイチに日表造形社も参加する運びとなった。参加するといっても、委託販売としての参加なのだが、これはブースを取り忘れた小柳日向に一切の責任がある。
しかし、委託を引き受けてくださった大坂文庫さまには感謝の限りである。前回の文学フリマ東京でお世話になった以来だが、今回の弊社の新刊にも参加してくださっている。
日表造形社は当日、大坂文庫(a-8)にて既刊「透明物語」と新刊日表造形社詩誌シリーズ第一弾「二日酔いのモナムール」を販売する。
まずは今回の目玉である新刊から紹介する。

 

新刊/日表造形社詩誌シリーズ第一弾
「二日酔いのモナムール」
執筆陣(敬称略)
上住断靭
泉由良
森井聖大
小柳日向
牟礼鯨

 

 

上住断靱
「二日酔いのモナムール」
タイトルコールを担当していただき、今回の詩誌の先鋒として鋭い言葉を読者に突きつける。
文体としては本人はそんなつもりはないというのだが、ハードボイルドであり叩きつけるような強さを感じる詩を寄稿していただいた。作家の懊悩と信念を感じる作品となっている。
詩及び俳句、短歌と幅広い表現に刮目せよ。

 

泉由良
「真魚を抱きしめていたい」
泉由良には勝手ながらシンパシーを感じる。溢れ落ちる詩情。硬質な水の中に閉じ込められるような息苦しさを味わえる作品である。
平素小柳は「女流作家は軟弱だから好かん」と云うのだが、泉由良にその軟弱さは一切感じない。
突きつける言葉の余韻に陶酔せよ。

 

森井聖大
「詩を書くおれの三日間 という詩」
詩誌を出すから書かないか?と誘ったところ、落語を書いてきた問題児(推定40歳)。
森井聖大の持ち味であるユーモアが存分に味わえる作品となっている。
思考形式で進む文体。詩とはそもそもなんだ?と問いかけるロックな作品となっている。
読み終わった頃には死んでいるかもしれない。

 

小柳日向
「愛ほしい心など」
モナムールとは「私の愛おしい人」というフランス語であるが、小柳は愛おしいという言葉に着目した。愛おしいと感じる瞬間を切り取り、詩や俳句という表現に還元する。文体としては近代詩調であり、胸を締め付けるような淋しい痛みを訴える。
愛しさと切なさと心強さとで、ハートを射抜きたい。

 

牟礼鯨
「両畿赫歌」「三嶋往還」「狗みたくハンバーグ」
唯一、電話をかけてお誘いした。返事をするのに10秒待ってくれと云われ、じっと10秒待った。届いた作品を読んだ時、あの10秒を振り返る。
俳句連作「両畿赫歌」自由律連作「三嶋往還」詩作品「狗みたくハンバーグ」
作家がゆっくりと歩む跫が聴こえる。鋭いまなざしや研ぎ澄まされた五感に読むものはハッとさせられるだろう。
お願いだから、牟礼鯨を祝福してほしい。

 

 

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既刊
「透明物語」小柳日向
純粋なまま現代を生き抜くことは容易いことではない。確実に大人として生きていかなければならない。
濁されていく精神を引き摺り、それでも純粋に生きるため透過する少女と、その少女を追いかける男の優しい物語、透明物語。
その他、三編の透明系短編、一編の詩を収録。嘘と本当、触れられるものと触れられないもの、過去と未来、理想と現実。私たちは何かを天秤に掛けながら選択を迫られ生きている。
これは純粋でありたい人のための愛と切なさの物語集である。 

在庫はわずかである。早めにお買い求めいただきたい。

 

 

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間借りさせていただく先である、大坂文庫さまの作品紹介もさせていただきたいが、それは次回のブログで書かせていただく。

福岡ポエイチ第四回
2015年6月6日(土)-7日(日)12:00〜17:00
リノベーションミュージアム冷泉荘
足を運ばない道理がない。
来られた際はぜひ、大坂文庫(a-8)までお立ち寄りください。
1日目は弊社の専属売り子が在席。二日目は小柳日向が在席しております。

 

 

 

文学フリ5月新刊告知

第二十回文学フリマに向けて、制作していた短編集の表紙が出来上がったのでここに告知しておこうと思う。
組版や表紙作成など、初めてのことばかりであったが、内容も頑張って書いたので、是非第二十回文学フリマにお越しの際はA-04日表造形社に立ち寄っていただけたら嬉しい。

小柳日向が初めて出版する短編集。

タイトル「透明物語」

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純粋なまま現代を生き抜くことは容易いことではない。確実に大人として生きていかなければならない。 濁されていく精神を引き摺り、それでも純粋に生きるため透過する少女と、その少女を追いかける男の優しい物語、透明物語。 その他、三編の透明系短編、一編の詩を収録。嘘と本当、触れられるものと触れられないもの、過去と未来、理想と現実。私たちは何かを天秤に掛けながら選択を迫られ生きている。 これは純粋でありたい人のための愛と切なさの物語集である。 

 

 

第二十回文学フリマ参加宣言及び新刊告知

日表造形社は5/4に東京流通センターで行われる第二十回文学フリマに参加する運びとなった。

先ほど結社宣言をしたばかりのできたてほやほやの文学結社であること相違ないので、察しはつくであろうが、既刊はなく、すべて新刊である。
なので現在、中の人はしにものぐるいである。
なんせ初参加であるので、緊張もしている。日表造形社は福岡が拠点であるので、東京に行く機会もなかなか持てないでいたのである。初参加にしてサークル参加という事態を招いたのは他ならない小柳の責任であるが、ともあれ原稿を早急になんとかしたい。

配置はA-04日表造形社@hinatazoukeishaということで、純文学の場所に構えている。なにやら入口からは遠いらしいが、カレー屋に近いとのことらしい。
そして、この度参加するにあたってA-03大坂文庫@uwazumiと合体配置をする予定となっている。
経緯は様々であるが、小柳が大坂文庫さんの新刊の装丁などを承るにあたって、段々とテンションが上がっていったのが敗因である。「文フリ行こうぜー」「ブース出そうぜー」「共著しようぜーいえーい」という軽はずみな言動は、即ち現在の修羅場を想像するに欠いており、追われる原稿を増やすことになってしまった。

ともあれ、本日その上住断靭さんとの共著である「めんたいたこやき」の装丁ができあがったので告知しておこうと思う。

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大阪に住まうミソジニーと、福岡に住まう大学受験を失敗した男子ニートが繰り広げるラブコメディと題しているが、果たして……。

小柳自身の新刊や携わらせていただいた本は、また追って告知していこうと思っている。

両文学結社の代表共々、ちびっこであるので見つけるのが困難であるかもしれぬが、配置図を頼りに訪ねてきていただければ幸甚である。